MIKUEC2018 大正製薬さんとのコラボの裏話

 10月上旬、段々と陽は短くなり空気も微かに冬の顔をし始めていた。

 

その日も夕刻を告げる街の放送が鳴る頃には西の空は赤く、東の空では既に夜が現れていた。冷たい空気を避けるように片手をポケットに入れ、もう片方の手で慣れたようにスマホを開く。
するとそこには一本の着信履歴があった。

 

登録していない番号からであった。
いつもなら無視をするかその電話番号を検索してから掛け直すのだが、その日は何となくそのまま折り返し掛けた。きっとここ数日一人で居たせいか誰かと会話をしたかったのだと思う。
プルルル、と呼び出し音が鳴る。相手はどんな人だろうか、男か女か、若者か、年寄か、学校か、バイト先の人か、バイトの臨時シフトのお願いなら断ってやろう。などと考えていたらガチャリ。そしてザワザワ、と相手側の音が聞こえた。外か、居酒屋か、いずれにせよ間違え電話に違いない、そう確信した。


『もしもし、こちら大正製薬でございます。』
「もしもし、すみません、先ほどお電話頂いたみたいなんですけれども。」
若い女性であった。間違え電話ですよ、と言わんばかりのテンプレを喋る。
『折り返しのお電話ありがとうございます。この度我々の”ファイト学祭キャンペーン”にご当選いたしましたのでご連絡させて頂きました。お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか。』

 

キャンペーンに当選?なんの話か分からなかったが名前を伝えてしまう。情報管理力の無さに「しまった」と思う。

 

『ゆず様ですね。本キャンペーンは、キャンペーンに応募いただいた中から200組にリポビタンDを50本贈呈し、さらにその中の5組にはそのサークルのお悩みをプロの方がお手伝いする、というものでして、今回我々からゆず様のサークルのお悩みを実際にプロの方を招いてお手伝いできたらな、と思いご連絡させて頂きました。』

それを聞いた刹那、全てを思い出した。

何となく眺めていたTwitterの広告で流れてきたキャンペーンを見て「リポビタンD50本貰えたらラッキーだな」とだけ思い何も考えず適当に要項を埋めて応募したのだった。

 

『そしてお悩みの内容が”ダンスの振り付けに困っている”とのことですがそれから現在にかけてこちらのお悩みは解決されましたでしょうか。』

 

キャンペーン応募要項には「学祭に向けて準備してる中で困っていることを教えてください。」とあった。

そこに書いた内容をその道のプロを派遣し解決する、というのが本キャンペーンのメインだ。そして私が書いたのは「ダンスの振り付けが考えられない」。
今回のMIKUECで披露するオリジナル楽曲のダンスモーションの振り付けが未だ決まっていなかったからだ。

 

「ありがとうございます。まだ解決しておりません。よろしくお願いします。」
『はいそれでは今後...』
「...はい。...はい。よろしくお願いします。」

 

 

やり取りを終え電話を切った時には既に西の空も夜に染まり東の空では月が恍惚と輝いていた。

 

そんな10月の上旬、かくして今回の大正製薬キャンペーンコラボが始まったのである。

 

 


はい、そんな感じです。

 

今これを書いてるのが2019年2月下旬で、もう5ヶ月近く前なんで(時間が経つの早い)(書くのが遅ぇんじゃ)かなりうろ覚えですが、今回のキャンペーンの内側で僕が何してたかってのを記録として残したいと思います。


あっ、文体は以降もこんな感じです。序章見たいに書くと疲れるんで(←)。はい、拙い文章ですがお時間あれば読んでってください。

 

brand.taisho.co.jp

 

前述の通り、お話を頂いたのが10月上旬で、そこから2回ほどレッスン日を設けるとのことでした。本番が11月23日なのでまぁ結構急ぎ足でした。

 

まず一回目のレッスンは10月30日に決まりました。内容は振り付けを教えるというもの。

しかし問題が一つだけありました。

 

         「どこでやるか」


はい、出ました会場問題。

 

何度も繰り返しになりますが我が電気通信大学の決まりで、大学公認サークルでないと学内施設の使用ができないんですよね。

我々バーチャルライブ研究会は学友会準公認サークルなので到底無理です。
一応学生課に凸してお願いしますよ~って上目遣いしてきたけど全くビクともしませんでした。

 

というわけで急いで会場探し。条件は外から見られない閉ざされた空間(部屋)であるという事、こちら側とあちら側のスタッフ合わせて約10人程度が入れ、音楽を流しながら踊れるスペースがある防音且つ広い空間。

 

いろいろ調べていると、どうやら有料のダンスレッスンスタジオなるものがあるらしく、それはダンス用に前一面鏡張りになっており(当たり前か)ここしかないと方向性が固まりました。

そして次は場所。

ダンススタジオは我が調布にあまりなかったので23区内を探し回りましたが、夕方はどこも一ヶ月先まで予約が埋まっていて中々厳しい戦いでした。


そう調べてくうちにもどんどんレッスン日が近づいてきており、背に腹は代えられないという事で、相場よりも少しお高いスタジオ(広さなどは完璧)を予約しました。


そうこうしてる間に約束のリポビタンD50本が届きました。

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届いたリポビタンD

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手紙

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50本




そんでまあ当日、緊張しましたね。(お前はなんもしとらんじゃろがい)
リポD既に50本貰ってるのに、当日更に10本(1ケース)貰いました。

 

撮影は、プロのダンサーの方が振り付けを教えてくださってる様子を周りから撮ってるという形でした。

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風景

 

ずみさん、本当ありがとう。
めっちゃダンス上手くてすごかった(語彙力)
ありがとうございました。

 

プロの方が考えてきてくださった振り付けも滅茶苦茶可愛くて、最初見た時からニヤニヤが止まりませんでした。この振りを踊ってるミクさんが容易に想像できてそれがべらぼうに可愛くてニヤニヤが止まりませんでした。
そんなこんなで2時間のダンス練を終え、解散となりました。


帰路ではもおう大はしゃぎ。最高最高。優勝優勝。勝利を確信してました。これは最高だということを言い方を変えてずっと言い合ってました。マジで最高だった。ホント素晴らしかった。ありがとう。ありがとう。

 

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その後トリキで飲んだカシオレ

 

しかしまあ勿論これで終わりではありません。この振り付けをモーションキャプチャーで収録しなければなりません。


二回目のレッスンは、このモーションキャプチャーの収録に実際に立ち会い、そこでキャプチャーしづらい様な動きがあれば少し変える、といったものでした。
日付は確か...11月...いつだっけ?多分7とか8とかそのくらいだった気がする。

 

モーションキャプチャーの設備は広尾にあるアドバンスドテクノロジーラボ(以下ATL)

 

atl.recruit-tech.co.jp

 

という、会員登録でモーションキャプチャー設備や編集用ハイスペックPC、グリーンバックスタジオなどが使用できる所をお借りさせて頂きました。

 

こっちこそ僕は本当に何もしてません。踊ってくれたずみさん、器具を色々弄ってくれたkai君、本当にありがとうございました。感謝してもしきれないです。
そんな感じで二回目も終えました。

本番が楽しみである反面、あと2週間で本番という事実に震えていました(準備が...)。

 

 

事前の撮影というかレッスンはこれで終了。あとは大正製薬さんが当日見に来て会場の様子などを撮影する、という予定だけでした。
実は本コラボを実現するにあたって、当日調布祭にカメラが入ること、電通大が撮影され名前がサイトに記載されるることの理由により、調布祭実行委員会と大学からの許諾を得る必要がありました。
大学に許諾なんてどう取ったらいいか分からなかったので、とりあえず学生課にメールしたりしました。(怖かった)。数日後、色々お偉いさんたちで審議してもらった結果「いいよ」って言われました。
ただし条件として、このキャンペーンコラボが終わってそれがサイトに掲載されたら、電通大のメディア掲載欄にニュースとして記事を載せさせていただく、というものでした。また、その旨を大正製薬さん側から許諾をもらってこい、と言われました。

 

こんな感じでほぼ毎日二回目のレッスンが終わるまで、大正製薬さんと調布祭実行委員会さんと学校の広報係の人とメールなり電話なりしてました。「これが社会人か...」って思いましたね。もちろんこのやり取りしながらOPの映像作ったり、説明会に行ったり、勿論学校もあって課題も...

...おおっと苦労話を語るのはやめようか。
10月頭から一ヶ月こんな感じだったので、二回目のレッスン終わってこれ関連があと本番当日だけってなってホッと一段落着いたな、って思いました。あっ...また自分語りスマン...。

 

 

んで当日か。

当日は会場の様子と、うちらがコメントするのとプロの方にありがたいお言葉を頂くシーンの撮影でした。
当日はあんな感じでいっぱいいっぱいだったのですごく適当に対応してしまって本当に申し訳なかったな、と思ってます。

結局、その撮影はライブ終わった後、会場からお客さんがいなくなってから行いました。(向こうの予定を押してしまった...)

 

まぁ、動画見た方は分かると思うんですけど、代表兼応募者として色々聞かれたんですが、ド緊張。

 

ずっと下見て喋ってるし、喋りながらも分節おかしすぎたり、何言ってるかわかんなかったり兎に角コメントをする人間としてはマイナス5億点くらいのコメントをしてしまいました。
完成した動画見ても自分のとこだけ不自然にめっちゃ切り貼りされて使われてます...(泣笑)。

 

www.youtube.com

 

それでしばらく音沙汰無くて、年を越して2019年1月に、動画が完成しました、と連絡が来ました。「完璧です」って返信したら数日後にサイトに公開されていました。それを見て、約束通り電通大広報に公開されました、と連絡。すぐに記事を作ってくれました。そんでこの前1月終わりくらいに大学のメディア欄に掲載されました。

 

www.uec.ac.jp


漏らさずMIKUEC公式Twitterで宣伝して、これにて本当の本当に大正製薬さんとのキャンペーンコラボが終わりました。

 

私自身、このように企業の方と一緒に動き色々とやり取りをするというのが初めてで、恐らく向こうに失礼な対応を何度もしてしまったと思う。それに大学と連絡を取るってのも同じく初めての経験でした。

 

今回のMIKUECを通して、初めは今年も昨年同様に創作して当日運営してってだけかと思ってたのが一か月前に急に特大メイン級の事務仕事が舞い込んできて超ウルトラハイパータスク消化マンになれた気がします(今までが出来なさ過ぎたってのもあるけど)。

特に事務作業面は0から一気に鍛え上げられました。真面目な文章書くのも少しだけ上手くなった気がします(気がします)。

内容に関しても、このキャンペーンに当選してなかったらオリジナル楽曲の振り付けどうなっていたか分かりません。運が良すぎました。
次回開催はこのような運は無いとして自分らの力だけでやらなくてはなりません。今回学んだことなどを活かしてじゃんじゃん乗り越えていくしかないのです。サークルの皆にはとても重たい負担を与えてしまったと思っていて、本当に申し訳ないと思っているのですが、これからもっと強いMIKUEC一緒に作れたらいいなって思ってます。


色々と自分を成長させてくれた、今回のキャンペーンコラボをしてくださった大正製薬さん、許諾をしてくださった調布祭実行委員会さんと学生課、そして手伝ってくれたサークルの皆に精いっぱいの感謝を込めて、ありがとうございました。

 

 

そんな感じです。結構もう記憶が薄れてる...w

 

はい、というわけで、

ここまで読んでいただきありがとうございました。
これからもMIKUEC及びバーチャルライブ研究会をよろしくお願い致します。